瞳の中の碧い海
およそ本気とは
思えなかったけど
本音を言うと
『愛してる』と
言ってもらえたのは
少しだけ嬉しかった。
それでも可愛くないことを
言ってしまうのは
棗の口調はどことなく
パパを思い出させるような
気がしたから。
札幌の、しかも家の近くまで
来ていたにも関わらず棗は
「明日ウチから
学校行けばいいじゃん」
と言って
マンションに連れ帰って
くれたのも嬉しかった。
少しだけ
いい気分になっていたのに
その後
抗いようのない現実を
突きつけられることになる。