瞳の中の碧い海



およそ本気とは
思えなかったけど


本音を言うと


『愛してる』と


言ってもらえたのは
少しだけ嬉しかった。


それでも可愛くないことを
言ってしまうのは


棗の口調はどことなく
パパを思い出させるような
気がしたから。


札幌の、しかも家の近くまで
来ていたにも関わらず棗は


「明日ウチから
 学校行けばいいじゃん」


と言って


マンションに連れ帰って
くれたのも嬉しかった。



少しだけ
いい気分になっていたのに




その後

抗いようのない現実を

突きつけられることになる。





< 131 / 377 >

この作品をシェア

pagetop