瞳の中の碧い海
リスク
翼が棗と過ごしている
日曜日の夕方
健はクラブチームでの
サッカーの練習を終えて
帰宅したところだった。
玄関先で
翼の母親とばったり会った。
「あ、おばさんこんにちは」
「あら、健ちゃん。
久しぶりね?」
クラブのママを
やっているだけあって
健と同い年の娘がいるとは
思えない若さ。
黒髪を上品に巻いて
紅い口紅が白い肌に似合う。
細い首筋と
どこかたおやかな雰囲気は
娘の翼とも良く似ている。
ブランド物の
スーツを身につけ
どこかへ出掛ける様子だった。