瞳の中の碧い海
「おばさん、翼は?」
「翼ねぇ、週末お友達の家に
泊まるって出てったきり」
「…そんな仲いい
友達いたっけ?」
「最近仲良くしてるみたいよ?
なつみちゃんとかなんとか…
よく泊まりに行ってるわよ」
「なつみ?
そんな奴いたかなぁ?」
「健ちゃんの知らない子なの?
きれいな子だって
言ってたわよ?」
「最近翼、変なんだ。
誰と遊んでるのか
知らないし、言わない」
「健ちゃんに
隠し事するなんて変ねぇ」
生活感のない
優雅な微笑を見せて
母親は笑う。