瞳の中の碧い海



私は
ベッドをそっと抜け出して
寝室のドアから
様子を窺ってみた。



「……っ…」



洗面所で棗が
声を殺して泣いている。




胸がキリキリと
切なく痛んだ。




彼はなにか
人には言えない
大きな傷を
抱えているような気がする。



あおいさんとの
ことだろうか?



それが何か
話してくれる日は
来るんだろうか?





私は多分





棗が好きだ。






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