瞳の中の碧い海



健ちゃんは
何食わぬ顔で登校してきた
棗を捕まえて
大勢の前で抗議した。


「15人もの女にいい顔して
 どういう神経してんだよ!」


「オレはおまえと
  付き合うって言った
   覚えはないけど」


棗はしれっとそう答えた。


「オレじゃねえ!
  ふざけてんのか!」


「ふざけてんのはおまえだろ?
  おまえは関係ないんだよ」


「だからって放っとけるかよ!
 みんなあんたのせいで

 したくもないケンカして
    泣いてるんだぞ!?」


「ケンカしたのは
  そいつらの勝手で
   オレには関係ないね」


「みんなあんたが好きだから
 困っているんじゃないか!」


「オレが好きだからじゃないよ
   自分の意地のためだろ」


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