瞳の中の碧い海



「あおいさんのことが
   忘れられない?」


「多分一生忘れられない」


「それは当然でしょう」


「翼には悪いことをしたと
       思ってる」



深く付き合うつもりは
なかったのに
なぜそうなったの?


それは


あおいさんを亡くして
寂しかったからじゃないの?


きっと
パニックになった時の
言葉の方が彼の本音だ。



「嵐の夜は絶対
 棗を独りにしないわ。
     一緒にいる」


「翼、それは…」


「心の傷が消えなくても
 上手くやっていきましょう」


「翼がそんな事する
 必要はないだろ?」


「私がそうしたいから」


「もうオレに関わるなよ!
 一緒にいても
  未来なんかないぞ!」


「愛人を持つのは
  可能なんでしょ?」


「おまえ…
 バカじゃないのか!?」


「私のことが
 好きじゃなくても
 別にかまわないわ」



「翼のことが
 好きじゃなかったら…

 こんなこと
  言うわけないだろ…」




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