瞳の中の碧い海
一緒にマンションに帰ろう
と棗は言った。
「ホントにお持ち帰りして
ママに怒られないかな?」
「カウンターの一番端に
三つ揃いのスーツ着た奴
いたの覚えてない?」
そういえばそんな人がいた。
イギリス紳士のような風貌で
一人で飲みに来ていて
会話には加わらず
笑顔で皆の話を聞いていた。
優しそうな男性だった…。
「そういえば、いたね?」
「あいつが翼ママの彼氏だ。
オレがああ言ったから、
翼ママは今夜
安心して帰って来ないよ」
どうしてそんな事
分かるんだろう?