瞳の中の碧い海


夏休みが終わって
後期の授業が始まった10月



学校から帰ってきて
誰もいない家の
鍵を開けていると



「よう、久しぶり。
 ちょっと話せる?」



ずっと会っていなかった
健ちゃんだった。


小さい頃からずっと
こんなに長い間
彼と話をしなかったのは
初めてだ。


以前と変わらず
健ちゃんが家のソファに
勝手に座る。


健ちゃんはもう私と
話してくれないと
思っていた。



「早坂と上手く行ってるんだな
     おばさんに聞いた」


「ママが
 余計な事言ったかな?」


「おばさんは…
 早坂は翼に優しいし

 翼も早坂の事
 心配してるって言ってた」


「そう…」


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