瞳の中の碧い海


健ちゃんが帰って
また独りになった部屋。


窓を開けて
夜空を眺めてみる。


来年はきっと
健ちゃんの望みどおり
同じ大学へ入るのだろう。


そして彼の中にいる
純真な翼を演じて
生きるのだろう。



何のために
生きているのだろう。



天使は札幌を迂回する。



ここの土地には
天使はいない。



翼だけ与えられた

絶対天使にはなれない
私が独りでいるだけだ。





ここにはもう誰もいない。





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