瞳の中の碧い海



何も無い


誰もいない彼の部屋で



子供のように
声を上げて泣いた。



この期に及んで



嫌いになったと
言ってくれるわけでもなく


さようならも
言わないなんて


ひどい人だと思った。




「愛してるから
  もう会えないと
   思ったんじゃないの」


「中途半端に会っても
 傷つけるだけでしょ」




棗の言葉を思い出す。



男の人の言う


『愛してる』を


今は


信じるべきなんだろうか?



私は
恋をしたことが
なかったので


わからない。


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