瞳の中の碧い海
健ちゃんとは
生まれたときからお隣同士


幼稚園からずっと
一緒の仲良しだ。


「パパは翼に嘘ついた…
 もう翼の事
 好きじゃないんだよ…」


小さな翼の瞳から
小さな涙が零れ落ちる。



今日だけは自分のことを
思い出してくれると
信じていた。



でもパパは来なかった。




「翼、もう寂しくないよ。
 オレがいつも
 一緒にいるからね?」



せっかく健ちゃんが
そう言ってくれたのに


翼はもう
男の人の言うことは
信用できないと
思うようになっていた。




程なくママが
翼を迎えに来た。


ママは隣のおばさんに
必死で頭を下げている。


家に帰ってから
翼はママに
こっぴどく怒られてしまった。




寂しさを埋めてくれる人は

もうここにはいない。





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