瞳の中の碧い海


「な、なんで
 突然海ですか?」


「せっかく
 誘ってるんだけど」


「でも…約束が…」


「断れば」


「そんな…」


「あいつの言うことなら
 素直に聞いて断るのにねぇ」


私たちの会話、聞いてたんだ。


なんでも
健ちゃんのいいなりだって
バカにされている気がする。


「わかりました。断ります」


「へぇ?出来るかな?」


…やっぱりバカにしてるんだ。


「断るったら断ります!」


「そう、じゃあ行こうか」



そう言って
憎たらしく笑う顔まで
素晴らしくきれいだった。




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