瞳の中の碧い海



いつも世話になっていて
心配してもらって悪いけど
実はその通りだった。


健ちゃんに好きだと
言われたこともあったけど


心はさほど動かなかったし


彼と付き合うとなったら
きっと
結婚までのレールが
ガチーンと引かれて
しまうような気がする。


返答に困って
口ごもってしまっていた。


「オレが翼をあいつから
 解放してやろうか?」


「え?」


「リスクは伴うけど
   どうする?」


「リスクって何??」


「やってみないと
 わからないけど

 失う物もあるかも
     ってこと」


「そ、それって…」


「YesかNoか?どっち?」


その説明じゃ
何も分からない上
私はこの人を信用できない。


しかもリスクを伴うんじゃ
とてもじゃないけど
Yesとは言えなかった。



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