瞳の中の碧い海



「ちょっと…待って」


「何だよ!?」


「そういうのじゃないなら
  どういうのなの?」


「指輪?
 思い出の品なの。
   もういい?」


「いや…あの…」


「何だよ!?嫌なら嫌って
   はっきり言えよ!」


「嫌じゃないけど…
   心の準備が…」


「もしかして処女??」


棗が
酷く驚いた顔をした。



「誰とも付き合ったこと
 ないって言ったじゃない!」


「ああそう。じゃあ嫌か」



そう言って
さっきまでの事が嘘のように
またあっさり
手を離してしまう。



それもまた寂しかった。



上手い具合に
駆け引きに負けているような
気がするけれど


「嫌ではないです」


と言ってしまった。


「敬語はやめてって
  言っただろ?」


「…嫌じゃない」



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