瞳の中の碧い海
「ホントにいいの?」
月明かりに照らされた
作り笑顔がまたきれい。
「いいよ」
「あっそ、
じゃあいただきます」
彼が首筋を甘噛みした。
吸血鬼に
吸われているみたいだ。
これは完璧
遊ばれているんだろうな
と思った。
こんなにきれいな人だもの
例え彼女がいなくても
相手には困ってないはずだ。
肌がとてもきれいで
しみひとつない。
まるで陶器のようだ…
うらやましい。
彼の背中に手を回して
そのすべらかな感触を
しばし楽しんだ。
ゆっくりゆっくり
時間をかけて
彼の舌が体を這う。
焦らされているって
こういうことだろうか。
男の人に体を触られるのも
もちろん初めてだ。
棗の指も腕も
どこか華奢で細いけれど
やっぱり女の子のものと
感触とは違う。