瞳の中の碧い海



寂しいけど


こんなところで
いつまでもこのままで
いるわけにもいかない。


自分もごそごそと
体をよじって
服を元通りにしていく。


棗がまた
青緑色の箱から煙草を出して
火を点ける。


そして左腕の時計を見て
時間を確認する。


その腕時計も
さっきいろいろやってる最中に
確認して驚いた。


銀色の金属に縁取られた
黒い文字盤のそれは

ロレックスの
エクスプローラーⅠ。


某アイドルが使っていたと
有名だったから
たまたま知っていた。


こんな田舎の学生が
持っている代物ではない。


そういえば
いつも着ているシャツなんかも
ずいぶん仕立てのよさそうな
ものを着ている。


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