瞳の中の碧い海
広いリビングの一面が
窓とベランダになっていて
海が見渡せるように
なっている。
3LDKはあると思われる
広い部屋には何もなく
実家かと思いきや
多分独り暮らし。
もうただただ驚くばかり。
「棗はもしかして…
いや、もしかしなくても
お金持ちですよね?」
「敬語は嫌だって言っただろ」
「あ、お金持ちだよね?」
「オレじゃなくて、親がね」
棗は奥の部屋で
ジャケットを脱いで
クローゼットに掛けている。
そっと覗くと
奥の部屋にも何もなくて
クローゼットに服がズラリと
入っているだけだった。