ブラックレター~高嶺の花に恋します~




一年間、出し続けてるファンレターという名のラブレター。

今の私にできる唯一の努力。


絢子はこんな私に小さな努力にも根気よく付き合ってくれているのだ。

本当に感謝してもしきれない。




「それにしても…あれからもう一年も経つのか…」




少しずつ日差しが弱くなってくる時間。

それでも紫外線対策にと黒い日傘をさしながら二人で家までの道を歩く。


そんなときふと絢子が漏らした言葉。

その言葉に去年の今頃のことを思い出す。


去年の今頃。

ちょうど夏も終わりを迎える頃。


私はあの人を知り、恋に落ちた。

本当に落ちるようなものだった気がする。


心臓を掴まれて、魂から恋をしたような。


そんな特別であり、それでも自然な体験をした。




< 104 / 188 >

この作品をシェア

pagetop