ブラックレター~高嶺の花に恋します~
名前だけで尚、私の脳内を侵す。
それくらいの衝撃だった。
そんな私が放った名前に、絢子は驚いたように目を見開く。
「…はぁー!?相沢って…あんたそれ、20くらい年上の俳優じゃんか!」
「うん。知ってる」
そう。彼は私よりもかなり年上の男性だ。
お母さんいわく、40歳くらいだと言われた。
なんだよ、全然余裕じゃん。
そう私は思ったのだが、どうやら絢子はそうではないらしく。
先程から"もっと若手かと思ってた…"などとぶつぶつ言っている。
そして明らかに不満そうな顔をされた。
なのでそれを見ないように布団を頭から被る私。
人から否定されることは昔からよくあるが、相変わらず慣れることが出来ないでいる。