ブラックレター~高嶺の花に恋します~
手に取った黒い封筒。
そこには確かに【高倉真麻様】の文字が書かれていた。
この家にこの名前の人間はもちろん私しかいない。
この辺りに高倉の家もうちしかないはず。住所もあってる。
思わずしかめてしまった眉。
私に手紙を送ってくる人など果たしていただろうか。
皆目検討もつかない。
「本当だ。で、差出人は?」
ぐるぐるとそんなことを考えている私の後ろから手紙を覗き込んできた絢子の言葉に、私ははっとして手紙を裏返す。
そしてそこに書いてあった名前を読み上げた。
その名前を理解した瞬間、私と絢子の動きが止まる。
「えーっと…相沢、総一、ろ、う…?」
何故、この名前の人から手紙が来るのだろうか。
世の中は、何が起こるかわからない。