ブラックレター~高嶺の花に恋します~
「……」
「……」
現在場所は私の部屋。
空気はどことなく重々しい。
先ほど届いた黒い手紙はテーブルの真ん中に置かれ、それを挟むようにして私と絢子は向き合いながら無言で座っていた。
絢子と私の視線はじっと黒い手紙に向けられている。
宛名は私。
字から見て送り主はたぶん男性。
そしてその送り主の名前が"相沢総一郎"。
もしこの名前の通りなら、私の知っている相沢総一郎は一人しかいない。
しかし、そんなこと誰が信じられようか。
だってそれは、私がファンレターを送り続けていた相手だ。
そんな私たちが向き合うテーブルの傍らには、適当に握られたおにぎりがポツンと置かれている。
これはあれだ。絢子と私の非常食である。