ブラックレター~高嶺の花に恋します~
私だってこれ以外に答える言葉が見つからない。
だってそうだろう。
だいたい自分宛に手紙が来たというだけでも大分驚いているのだ。
そんな人いないと思っていたのだから。
それなのに送り主の名前がまさかすぎる。
それは何度も何度も手紙を書いたあの人の名前だったのだから。
自分で書いたことことはあっても、人が書いたその名前を見たのは初めてのことだった。
そして改めて見る同じ字で書いてある自分の名前に、ドキリと心臓が跳ねる。
私の直感が、静かに何かを告げていた。
「…まぁ…質の悪い悪戯ってこともあるわよね」
向こうの住所書いてないし、と難しそうな顔で呟く絢子に私はコクリと頷く。
確かに悪戯の可能性は十分あると思う。