ブラックレター~高嶺の花に恋します~
「じゃあどうやって返事するのさ」
「……うーん…」
私はごくりとおにぎりを飲み込むと、もう一度あの手紙を手に取る。
そしてその一文を読み直した。
『君は僕のどんなところが好きですか?』
(どんなところ、か…)
難しいところをついてくるな、と思った。
だってそれは私があの四文字以外書けない理由そのものだ。
湧きだしてくる想いはたくさんあるけれど、言葉には出来ない。
正しい言葉が見つけられない。
嘘にならない言葉が。
いっそ涙に想いのすべてを込めて便箋に落としてしまいたいくらい。
それくらいこの想いは深いのに。
この人はそれに気付いているんだろうか。
もし気付いているなら、一体どんな答えを求めているのだろう。