ブラックレター~高嶺の花に恋します~




どこにも迷うことなく書いてあったその言葉。

それはきっとこの子の本音。




「よ、予想通りというかなんというか…」




そんな言葉が返ってくるんじゃないかと思っていた。

そんな言葉が返ってくることを期待していた。


きっとこの言葉を書くのに彼女は悩んだんだろう。

だって今までに書いたことのない言葉なのだから。


でもだからこそ、これが本音なのだということが伝わってくる。

正直な言葉なのだとわかる。


多分、彼女は俺に何も求めていないのだ。

どんな活躍をしてほしいわけでもない。

どんな人物像であってほしいわけでもない。

そこに期待しているわけじゃないんだ。


自分で言うのもなんだが、彼女はただ俺という存在を欲している。

とても、とても貪欲に。




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