ブラックレター~高嶺の花に恋します~
「…大好き、か」
初めて見た"大好き"というその言葉に思わず頬が緩んだのは、季節も完全に冬へと変わった頃だった。
寒さが肌に染みる季節。
外の空気は吸い込むだけでキシキシと肺を締め付ける。
吐き出す吐息が白く空へと吸い込まれていく頃、俺は最後の賭けに出ることにした。
そして俺はある内容の手紙を彼女に送る。
─────もし僕が犯罪者なら、どうしますか?
それは究極の質問だったと思う。
きっとこれを手に取った彼女は困惑するに違いない。
俺だったら間違いなく狼狽える。
それでも聞いてみたかった。彼女の答えを。
俺が犯罪者なわけじゃないけれど。
犯す予定もないけれど。
そんな難しい質問をした俺に彼女はどんな答えをくれるだろうか。