ブラックレター~高嶺の花に恋します~
(本当…どうしようもないな)
本当に果てしなく遠い片想いをしてしまったものだと。
ベッドの上に寝転がりながら思う。
相手は自分の顔さえ知らない片想い。
絢子にも何度か言われた。
何でわざわざつらい道を選ぶの、と。
身近にいい男いるかもよ、と。
私だってそう思う。
本当、何でもっと普通の片想いが出来なかったのだろう。
どうして彼だったのだろう。
下手したら一生一人で抱え続けなくちゃならないかもしれない想いなのに。
伝わりさえしないかもしれない想いなのに。
何度も何度もそう考えた。
だけど、そう思ってもやっぱり彼がいいのだから仕方ない。
叶わぬ恋というなら、もういっそそれでもいいかなと思い始めている。