ブラックレター~高嶺の花に恋します~
女子力の欠片も見当たらない。
完全な干物女だ。いや干物以下?
しかしそれでも今日は着替える元気すらなかった。
仕方ないだろう。そういう日もある。
どうしても何も出来ない日というのもあるのだ。
そんなどうでもいいことを考えながら、私はゆっくりとした動作で郵便受けを開けた(決して気だるかったとは言わない)。
「…ん?」
開ければいつものようにいくつかの郵便。
支払い用紙やら市役所からの通知やら。
そんな物の中に混じって一緒に見えたのは、見間違えるはずのないあの封筒。
「…こんなに早く…?」
手に取ってみれば、やはり間違いなくあの封筒で。
不思議に思いながらも私は他の郵便物を玄関口に置き、封筒を手に部屋へと向かった。