ブラックレター~高嶺の花に恋します~




勢いよく部屋に入ってきた彼女の表情は、それはもうとても晴れやかだった。


相変わらずベッドの上で蹲っていた私のもとに絢子がやって来たのは夕方の6時を過ぎた頃。

やたらとお洒落な格好をしてやって来た。

これからパーティーにでも行くのかしら、この人。


そんな彼女に対して完全部屋着の私。

なぜか私のほうが場違いな気分になる。


あからさまに戸惑う私をよそに上機嫌で部屋に入ってきた彼女は、ベッドの前で仁王立ちすると演説でもするのかの如く語り始めたのだった。




「相沢総一郎、3月29日生まれの40歳。趣味は映画鑑賞と筋トレ。今のところフリーのご様子です!」


「絶対嘘じゃん」


「なんでよ!」




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