ブラックレター~高嶺の花に恋します~
「私、この人と結婚したい」
「「「ぶっっっっ!!!」」」
ふいに呟いた言葉は、ごく自然に口から出たものだった。
なにも特別なことを言ったわけじゃない。
ただ素直に感じたことを口にしただけ。
直感が私にそう言わせただけ。
私にとってはそれだけのことだった。
だかそれを聞いていた家族は少し違ったようで。
一様に同じ反応を示す。
みんながみんな、食べていたご飯を勢いよく吹き出した。
なにこれ。汚い。
「ま、真麻?どうしたんだ?急にそんなこと言って…」
一番先に正気を取り戻したのは意外にもお父さんで。
口元を拭いながら心配そうな顔つきでこちらを見ている。
ゆらゆらとその瞳を困惑に揺らしながら。