ブラックレター~高嶺の花に恋します~
彼の出演作を何本か見たわけだが、それでも何を書けばいいのかわからない。
違う、逆だ。
見れば見るほど、何を書いたらいいのかわからなくなってしまう。
呼吸を奪われるほど好きなのに、書く言葉が見つからない。
みんなはどんなことを書いているんだろう。
そんなことを思いながら首をかしげたとき、ふと開いたクローゼットが目に入った。
「……」
そちらに視線を向ければ、そこにはキラキラと輝く私の大切なお洋服たち。
彼以外に私に世界をくれる存在。
かかっているお洋服を見てから今の自分の格好を見てみる。
完全部屋着の今の私。休戦モードだ。
そして私はもう一度クローゼットに目を向ける。
あそこにあるお洋服を身に纏えば、少しは何かが変わるだろうか。