ブラックレター~高嶺の花に恋します~
思っていることはたくさんあるのだけど。
だけどそれを言葉にすることが、文字にすることが出来ない。
この紙の上に文字にした途端、感じていることすべてが嘘になってしまうような気がして。
消えてなくなってしまいそうな気がして。
それが怖くて書くことが出来ない。
(私が…書けること…)
一体なんだろうか。
私が文字にしても嘘にならない言葉は。
決して偽りにならない想いは。
あの人に伝えられる私の想いは一体なに?
何度も何度も考えて。
気付けば時計の針は何回転したのか。
(…これしか、ないかな…)
ようやくペンを動かしたのは朝を迎えそうな時間で。
そんな私が悩みに悩んだ末に書いた言葉。
『好きです』
それは嘘偽りないその四文字だけだった。