ブラックレター~高嶺の花に恋します~
仕事はしっかりこなそうと頑張ってくれている。
「今度はドラマの撮影ですね。ついこの間映画が終わったばっかりなのに」
「まぁ、そんなに出番があるわけじゃないけどな」
「またまたそんなこと言ってー!今調子最高じゃないですか!」
謙遜上手なんですから!と軽い調子で言う神崎くんの言葉を段ボールをリビングの机の上に置きながら笑って流す。
こういう軽い会話も彼は大得意だ。
俺は、あまり向いていないけれど。
人の懐にするりと入っていけるのも彼の凄いところだと思う。
そして彼の言う通り、最近は仕事がすこぶる順調だ。
有り難いことに仕事がくるというのもあるが、何より自分の調子がいい。
その理由を俺はわかっていた。