ブラックレター~高嶺の花に恋します~
中身もいつもと同じなのだろう。変わっているとは思わない。
俺はごろりとソファーに横になりながら、丁寧にその封を切った。
中から出てきたのは一枚の無地の白い便箋。
「……やっぱり」
そしてその真ん中には、やっぱりたった一言だけ書いてあるのだ。
『好きです』
たったこれだけ。
最初は本当に拍子抜けだった。
え?と思わず固まった記憶がある。
だけど何故かこの言葉には大きな意味があるような気がして。
無性にそれが気になった俺は、この手紙が届くたびにこの言葉を一人眺めるようになった。
何度も何度も眺めて、そのうち気付いたことがある。
これはラブレターに似ていると。
これはファンレターではなく、ラブレターなんじゃないかと。