裏表ガールも恋をする


「ーーーーぃな!結菜!!!」


誰かに名前を呼ばれて、私は、うっすらと目を開ける。

ボヤける視界の中で、颯太の顔が認識できた。

だんだんと、颯太がはっきりと見えてくる。


『…そ…うた?』

「………あぁ。大丈夫か?」


起き上がろうとしたときに、全身に痛みが走る。


『いっ!!!!…たぁ……。』

「結菜!!お前、起き上がるな!」


あぁ…そっか私、紗江ちゃんたちに蹴られて。

思い出しただけで、血の気が引いて行くのがわかった。………怖かったんだ。

でも、颯太。そんな必死になるほど私の怪我ってすごいの??


『……ってぇ。あいつら、どんだけ憎しみ込めて蹴ったんだろー。』


冗談っぽく言ってみたけど、蹴られたときの恐怖は鮮明に残っていて、手や体が震えていた。

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