紅 き 瞳
今日も 俺は夜の町を散歩する。
何十年も前の夜景は、もっと美しかった。
光輝くネオンなんて一つもなくて、満天の星と月だけがあたりを照らす。
そんな美しい時代は、もうとっくの昔に終わった。
今、この町は人工物に飲まれている。
そんな所でいろんな奴の行動なんかを観察する事……これは俺の日課だ。
いつも思うのだが、闇と俺は……よく似ている。
俺の心は闇に深い、いや………それ以上なのかもしれない。
光も音も…何も届かない場所。
俺は、そこで孤独に耐えながら毎日誰かに助けを求め、もがいている。