紅 き 瞳




気が付くと私はおとなしく、男の子の後をついていっていた。



目の前に聳え立つのは、古びたアパート。



男の子は相変わらず、なにも言わない。


その沈黙が余計、私に恐怖を与えた。





――――ガチャ…



アパートの一室が男の子の手によって 開けられた。




“入っちゃダメ!!”


頭の中がしきりにそう訴えかけている。





頭ではわかっているんだけど





体が言うことを聞いてくれないんだ………。






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