紅 き 瞳
生暖かい………。
何故だか冷たくなってきた体に流れるものは、暖かくて心地よい。
しかし、そう感じだのも一瞬だった。
「あぁ………」
部屋の中の妖艶な空気。
その中に、染み出るように漂ってくる香り。
その香りは、ドロドロと重々しく、濃厚だった。
視線を首元に戻すと、まだ首元に顔を埋めている少年の姿が目に入った。
体に回っている男の体温が熱くなっていくのに対して
私の体は冷たくなっていく……。
そのうち、しっかりとしていた視界は、まるで靄がかかったようにかすんできた。
悲しげな男の紅い瞳が視界に入った瞬間、目の前が真っ暗になった。
闇が深くなる前に、男の呟く声が聞こえたのは気のせいかな……。