紅 き 瞳
「………ん」
小鳥の可愛らしい歌声が、私を光の世界へと連れ戻した。
体が思うように動かない。
なぜなら、見覚えの無い毛布が体を締め付けていたのだから……。
見渡すと、そこは全く知らない部屋。
白を基調とした自分の部屋ではなく、ベッド以外何も無い部屋。
「……ここ、どこ?」
アパートの古臭い匂いに混じって匂ってくるのは、自分とは違う香水の香り。
その匂いが、自分は1人でここにいたんじゃないって事を、証明してくれた。
体にグルグルと巻きついている毛布を剥ぎ取る。
仕事用のスーツは、着ていたせいで何本もの線が強くついていた。
――――ギシッ
重みでしなるベッドから降りると、急に足元が不安定になってしゃがみ込んだ。
ふらふらとなる頭………。
二日酔いの時のような症状に戸惑いを覚える。
お酒なんて飲んでないのに………。
それに何だか……頭が痛い。