紅 き 瞳
―――――ザワ ザワ
しばらく歩いていると、駅が見えて来た。
駅前にはキャバクラや風俗のキャッチがたくさんいる。
この辺りには、簡単に着いてくるような女がうようよ。
だから、俺は大体こんな場所でデザートを探すってわけだ。
神経を集中させ、鼻を利かせる。
しばらくすると、甘い薔薇の香りが風に運ばれてやってきた。
……極上だな。
血の味っていうのは人それぞれ違う。
体調なんかで随分味が変わったりするが、大体は生まれた時から決まっている。
ちなみに俺は、甘い血が好きだ。
そう……、バンパイアによって好みの味は変わる物なんだ。
……そんな事を思いながら、薔薇の香りのする方をよく見る。
こっちを見ている女の視線…、どうやらあそこから漂ってくるようだ。
違う方向を向いていた体を女に合わせ、歩みだそうと足を踏み出した。
しかし、その歩は肩に乗せられたものによって止められた。