紅 き 瞳
――――ギィー バタン
前のように古臭い部屋に足を踏み入れる。
ドアを閉めた反動で撒き上がった埃に嫌気を刺しながら、電気のスイッチを押した。
何度か点滅しながらも点いた電気は、この部屋には似つかない程オシャレな物。
この部屋は、ちょっと古いがデザイン的に結構気に入っているんだ。
大きな窓……。
使いやすそうなキッチン。
広い風呂………。
それに比べ、部屋には家具が1つもない。
あるのは、部屋の真ん中を堂々と陣取っている、山積みのダンボールだけ。
すぐに引っ越す俺にとって、荷物ほど邪魔なものは無い。
ダンボールから荷物を出しても、すぐ引っ越すから、そのままにしてあるんだ。