紅 き 瞳
しばらくの沈黙の後、
『もしもし……?』
電話の向こう側から凛とした声が聞こえた。
「カルロ、俺だ」
『リョウ様でいらっしゃいますか?』
電話の相手は、執事のカルロ。
『あぁ……リョウ様。
長い間連絡も途絶えていたので、皆心配していたのですよ?』
カルロの言葉からは、哀愁が滲み出ていて、本当に心配しているらしい。
「あぁ……悪かったな」
長い間喋っていなかっただけあって、電話口とはいえ少し気が引ける。
『いえ!!とんでもございません』
しかし、いつもどおりなカルロの声を聞いていると、そんな気持ちもすぐに晴れた。
「所で、今日の集まりの事で聞きたい事があるのだが」
『はい。なんなりとお聞き下さい』
「今日の集まりは、何処であるのだ?どうせ、父上主催なのであろう?」
『……はい。今日の集まりは、レイ様のお考えでございます』
……やはりな。
薄々気付いていた事であったが、なかなか納得できない気持ちをグッっと流し込んだ。
俺の親父は、魔界の大企業の社長をしている。
俺は、会社を継がせると言う親父に反発して、人間界に来たんだ。
なかなか帰ってこない俺を見かねて、連れ戻すために絶対参加の集まりを開くんだ。
どっちにしろ、そろそろ父に会いに行かなければならないと思っていた所だったから、
好都合だな。