紅 き 瞳
「あ、もしもし?リョ―…オレオレ」
オレオレって……オレオレ詐偽みたいだし。
戸惑う俺を尻目に、電話口の奴は
「もっしぃ?」「おぉ~い」「ねぇねぇ」さっきからひっきりなしに話しかけてくる。
……ん?でもこの声、聞いたことがある。
もしかして……
「……ラル?」
「ふふふ、リョー。大正解だよ。久しぶりだね」
あぁ。ラルだったのか………。
……ラルっていうのは、電話の相手の名前。
日本名では、夜海 羅瑠(やうみ らる)
……俺の、従兄弟。
口数が少なくて、静かなのがラルの特徴。
でも、ラルから電話が来るのは、初めてだ。
よっぽど大事な話なんだろうか。