紅 き 瞳
「お兄様……、どうして悲しそうなの?」
リラの小さな手が、俺の頬をゆっくりと伝う。
俺は、リラの太陽のような笑顔が好きだったのに……。
今の笑顔は、悲しそうだ。
「リラ…、お前は気にしなくていいんだ。ところでここの暮らしはどうだ?」
これ以上悲しい顔をさせたくないがために話を逸らしたのだが、それは逆効果だった。
リラは、さっき以上に顔を歪めて瞳に涙を溜めた。
「何不自由なく暮らしています。だけど、ここの暮らしは寂しいものです」
よくよく見渡してみると、狭いが確かに不自由が無いと思われる。
だが、ここには誰も居らずリラは監禁状態だったという事が伺えた。