紅 き 瞳
「大丈夫だ。俺がいるからな……。ナオや親父にもお前を一人にしないよう言っておく」
安心させようと、優しく言ってみるもののリラの表情は硬いままだ。
どれだけ辛かったのだろう。
こんな小さな体に、こんな小さな心に、どれだけの傷が………。
せめて今だけは幸せな時をと……リラにIpnosi(催眠)の呪文を唱えた。
どれくらいの時が経ったのだろうか。
部屋の外で待っていたはずのナオが、俺の前に立っていた。
「リョウ……いや、ナイト様。そろそろ……」
タイムオーバーか――…。
ベッドで気持ちよさそうに寝むるリラの手の甲に、一瞬のキスを落した。
リラに幸せを……。
もう再び会えないかもしれないと思いながらも、小屋を後にした。