紅 き 瞳
豪華な金色の玉座に深く腰掛け、鋭い目でこちらを射抜く姿……変わらない。
「お父様、お久しぶりです」
「あぁ、ナイト…久しぶりだな」
ざわざわとしていた空間は、一気に静まり返り、唾を飲み込む音でさえ聞こえてしまいそうなほどだ。
親父は外見的には40歳、だが実年齢は90…だったか?
まぁ、吸血鬼が不老……というのはよく聞く話だ。
俺も、今は成長しているが何時それが訪れるのか、見当もつかない。
明日か、明後日か……はたまた20年後か。
余計な事を考えていると、隣で忠誠を誓っていたナオから急かすような視線を感じ取り
慌てて言葉を続ける。
「今日は、お招きいただきありがとうございます。しかし、今は祝いの席よりもすべき事があるのではないでしょうか?」
俺の言葉に、周囲の緊張感が増すのが痛いくらいに伝わった。
口答えはすべきではない、そんな事はわかっていた。
だが、この危機的な状況下でこんな宴をする者達の目を覚まさせたかったんだ。
暫らくの沈黙が募り、痺れを切らしそうになった時、親父の表情が少し緩んだ………、ような気がした。
「流石は私の息子だ」