友影
「すいません! 遅刻しましたっ!」
担任に怒られる覚悟で謝罪の言葉を叫ぶ。
肩で息しながら、教壇を見る。そこに担任の先生はいなかった。代わりに、D組
の学級委員長の桜と、書記の桃がいた。
担任がいないことに安心した私は、
「せ、せーふ・・・」
と、安堵の言葉を口にした。が、
「セーフじゃないわ。アウトよ」
きっぱりわたしにそう言ったのは委員長の桜だった。クラス内に小さな笑いが起きる。
「ほら、早く席につきなさい。今係を決めてるんだから」
「はーい」
お母さんのような口調で桜はわたしに着席するよう促した。
「それじゃあ、貴重品係やりたい人いますか?」
私が着席すると同時に桜は次に進める。
「いないようなので、私の推薦で梓に決定したいと思います」
「ええっ!?」
席についてホッとしていた私は、桜の発言にびっくりする。
黒板には既に貴重品係の下に「梓」と書かれていた。
「え、ちょ、うそでしょ?!」
「遅刻してきた人の意見は受け付けません。では、これで全部決まったので、ホームルームを終わります」
桜は私を完全にスルーし、ホームルームを終わらせた。