3.14cmの恋
幻想
野球バカとの出会い
“ カキーン”
『 お〜い!センターいったぞ〜!』
『 おぉ、ナイスキャッチ、夏川』
遠くの方で野球の監督が
大きな声をあげている。
私の中学校は野球部が県大会の
常連で毎日のように大きな声を
あげて練習している。
「あの、ジャージ邪魔なんすけど。」
突然声をかけられて横を見ると
さっきボールを取った夏川君がいた。
「え、あ、あ すいません。」
とっさに私はジャージを動かした。
すると彼はお礼の言葉もなしに
バッティングのボールに集中している。
私、中道朱李はこの無愛想な
彼を苦手な人BOXに認識した。
全く!お礼の言葉もないのかよ!
そもそもここは陸上部の領域だしー!っ
陸上部と野球部とサッカー部の
グランド土地取り戦争は
どこの学校でも一緒だろう。
特に陸上部の土地は隅のすみである。
そんなこんなで顔を膨らませて
歩いてると私の親友 佐藤智香が
話しかけてきた。
「どうしたのー?そんな顔して…」
「ともかぁ…あの夏川っちゅー
常識知らずがぁ…」