あなたが好きで…
3
学校への道を歩く。
高校2年生になった澪にとっては、何度も何度も歩いた道だ。どこの道に金木犀が植えられていて、どこの角に猫がいるか、全部覚えている。

けど……。

と澪は思う。

きっと学校を卒業したら、この風景も思い出すことは無くなるんだろうな……。

風景だけではない。
細やかな学校内の記憶も、クラスメートも、気持ちも。
きっと忘れられて行くのだろう。
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