オオカミが来た!

だから、私は貴一に告白した。



『ずっと前から好き』



なんて、普段なら恥ずかしくて口に出せるない。でも今日なら、貴一は本気にしないかもしれない。



エイプリルフールだと思われても、軽く流されたとしても、それでよし。



とりあえず、思いを吐き出してしまおうと決意した。



貴一は寝転がったまま、真っ赤な顔をして目を泳がせてる。口を固く結んで信じられないと言いたげな顔を見ていたら、今にも吹いてしまいそう。



っていうか、耐えられない。
この微妙な空気に。



「貴一? 嘘だよ、本気にした? 今日は四月一日、わかる?」



ぷっと吹き出すのと同時に、貴一に告げた。お腹を抱えて笑いを堪えられないように、思いきりバカにしたように。



思った通り、貴一は状況を飲み込めないらしい。きょとんとした顔から、一気に赤みが消えていく。



代わりに、貴一の顔が強張っていく。






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