時刻んだ愛は消えていなかった
「凪には話しておいた方がいいわね」
「何を?」
きーちゃんは少し躊躇いながらも、口を開いた。
「外国に引っ越したあの日から、丁度1年くらい経つと私は…」
きーちゃんはうまく笑顔を作り隠そうとしていたんだろうけど、僕にはとても悲しそうに見えた。
「認めたくはないのだけれど…捨てられたのよ私」
「な、なんで⁉︎あんなにいいお母さんだったのに」
きーちゃんのお父さんはきーちゃんが生まれる前に亡くなっていたから、お母さんと2人で暮らしていた。
「ええ、なにか理由があったんだと思っているわ。そうじゃないと…ね?」